いまさら株券発行の話_3
安定感という話だと、M&Aのときに売り側の株式がばらけているときに、真正な株主であることを疎明しようとすると、ひとつわかりやすい方法として、やはり株券を発行させて、全員分をとりまとめて交付する、ということになる。善意取得による保護の可能性も、あるのかな?
ただ、そうだとしても真正な株主であるかどうかは、最終的には表明保証で縛るくらいしかできないような気がする。株券があっても、確からしく見えることは見えるけど、株券なんかだれが作ってもいいし、法定事項が書かれていればどんな用紙を使ってもいいもんね、裏紙でもOK。何事もそうだけど、極論すれば騙す、騙されるの世界。
株式売買時の、株主の本人確認云々というような問題が起きる気もする。不動産だと公的機関により作成された登記済証なり識別情報なりがでているから、どうやら本物の所有者らしいと考えても、責められたりしないだろう。いや、責められないというよりも責められても悪性が減殺される、という安心感がある。逆にそれらがない場合は、いいわけするときの拠り所が1つ減るので神経質にならざるを得ない。
株式売買だとどうか。株主名簿を閲覧するとか、申告書の別表2を追いかけて、どうやら株主らしいという心証を形成するとか、とりあえずできそうなことはやる。別表2にずっと名前が出ているなら、ずっと前から将来の株式売買でだますために虚偽の記載を続けているというようなことはないだろうから、状況証拠としては役に立ちそうだ。ただ最終的には、契約当事者には実印を押させて、印鑑証明と本人確認資料をださせるんだろうね、とりあえずこれが一番わかりやすく言い訳もしやすい。そのうえで表明保証、こってりとした説明付きで。買手としても金が流れていく先の人定をしておかないと、何かあったときに大変なことになる。
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